Amazonと送料無料と宅急便

 少し前に話題になってたヤマトが Amazon の宅配に耐えきれずに音を上げた話*1。少し人とこの話をしたらなんか書きたくなったので。

■需要と供給
 ネット通販の拡大で宅急便の需要が増え、ドライバーが大変という話があるけどあれはおかしい。宅配事業の需要が増えたのならば、事業が拡大した分だけで宅配会社は儲かるわけで、それに合わせてドライバーを増やせばドライバーの負担は別に増えない。
 問題は需要が増えているのにドライバーを増やさなかったことにあるんだと思う。

 Amazon が安すぎてドライバーが増やせないというのならばその安い条件で仕事を引き受けてしまった点に問題があるわけで、どこまで行っても宅配が増えたこと自体はむしろ仕事が増えて悪い話ではない。それに中国の通販サイトとか北米アマゾンも距離がめちゃめちゃ遠いのにむしろ送料は安かったりする*2ので、別に日本だけが不当に安いわけでもない。

 結果的に起きることはおそらく amazon の宅配事業への進出なんじゃないのかと。 amazon はほかの国でも実は宅配事業を始めは既存の大手に任せるけどキャパを超えたら自社で宅配に乗り出すというパターンを繰り返しているので。

■ドローンと宅急便

 あとは宅配自体の技術革新にも問題がある。なぜか日本では次々にドローンを規制しているが、ドローンは宅急便のコストを劇的にさげる可能性がある。通販の需要は今後も絶対に伸びるのでこの分野の技術革新をした企業は業界を制覇する可能性がすごく高い。
 その場合ドライバー問題などはどこかへ消えるくらいの衝撃だろう。宅配や流通がドローンでできるのならば、今の宅急便のような小さな荷物を運ぶ所の問題は過去の問題になる。
 これは昔のカシオと電卓の関係性のようなもので、ソロバン文化だった日本は電卓を積極的に取り入れた。同じ流れがそのままワープロでも続き、その後にはPCでも起きた。その事で日本電子産業はバブル期に劇的に成長し産業を日本に作った。同じようなことがドローンでも起きる可能性がかなりある。しかし、電卓やPC、ITと違って何故か日本はドローンを規制してしまった。
 必要だったのは逆の事だったきがする。やや遅れている日本のドローン産業をうまく欧米の技術を利用して日本にしかない高い需要を満たせば、日本のドローンは電卓産業から続いた情報産業のように世界から一歩抜きんでるチャンスがある。しかし、もし日本だけが技術的に遅れた場合、一方的に国内の流通でコスト高になる事になり価格の競争力が低下していく可能性がある。

*1:http://news.livedoor.com/article/detail/12944995/ こういうの

*2:携帯の維持費とかも総務省とかの比較だと日本は安い事になっているが http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc255250.html、実際に海外の携帯使うと激安でびびる。ああいうのが規制なしで入ってきたら日本の通信事業って壊滅するんじゃないかと。日本の携帯を海外で使うと高いけど、現地のを使うとプリペイド式で支払ったりするから本体価格以外がむしろ安くて通信速度が遅いだけで安い国だと月額だと500円くらいだったりする。そもそもアフリカとかでも東南アジアみたいな収入が少ない地域でも現地の人が携帯を持っている時点で激安というのは本来推測できたはずだけど実際に知るまではむしろ日本は安いとすら錯覚していたのだから思い込みは怖い。