もの作りとか言っていた人たちが一体何を分かっていないか

 最近は韓国企業や台湾企業に電子製品がまけ続け、よりローテクな分野は中国の格安製品に負けている日本だけど、未だにもの作りとかまだ言っている人がたまにいる。まあ最近は大分減ったけど、それでも見かける。あの人たちが何が分ってないかというと製品以外の土壌で負けているという事に全く気が付いていない点だと思う。技術がとか、研究がとか、継続開発がとか、そういう理由を持ち出して中国や韓国などと対抗しなければいけない製品の話しをするのは、本当に何にも分ってない証拠だと思う。例えば、中国製品が日本より技術力がある分野は本当に限られているだろう。これは誰だって同意うするはずだ。しかし、売れるのは中国製品で、それは値段とか労働力と製品以外の違う部分で勝負が付いてしまうから中国が売れている。
 韓国や台湾製品だともう少し事情は複雑だが、これも品質自体の勝負というより、売り方とか、持っている技術をどういう方向に使うかとかいう、そういう単純に製品を作る能力以外の部分で差が付いてしまっている。結局何処で作ったかは問題ではないと言う事。これが如実なのは日本が長年研究してきたものを毎回毎回、韓国台湾、アメリカに先に商品化されだした2000年ごろからの問題で、不景気とかそういう経済的な問題以前の所。この問題というのは実は昔アメリカは逆に日本に製品化されてしまうというパターンを繰り返してきているので、さすが米国よく分かってる。最近は逆に日本の研究を色々利用して、上手く立ち回る。例えば、電卓はアメリカが主に研究していたものだけど、製品化は中々出来なかった、しかし電卓は日本で猛烈に売れてカシオは上手くやった。例えばインターネット網はアメリカの軍事用だったが、これも日本が後から高速な回線をつないで今では日本の方が速い。携帯電話も同様だ。少し前の事情が分かる人なら、日本は新しいものを躊躇せずに取り入れることで、市場を作る能力に長けているというのが、日本のもの作りの実態だったのは明らかで、欧米は逆に技術は日本に負けていなかったし、むしろ高かったとしても上手く市場に載せれず日本に全部吸われていくというパターンに陥っていた。今ではすっかり事情は逆転した。しかし、それはそんなに昔に起きた事じゃなくてここ10年程度の激変によってである。バブル崩壊だとか不景気だとか間抜けな話をしている間に、バブルより結構致命的なんじゃないかと思えるような構造転換がこの10年足らずの間に起きたと思う。つまり、1990年代なら未来を見たければ日本へ行けと言われていたが、2000年代はどうだろう。携帯もすっかり世界に普及しむしろ日本だけ旧式の形に載ったままガラパゴス無線LANも欧米では一挙に社会インフラとして広がり街ならばいたるところで公衆無線LANが作られるという形になったが、日本では空港ですら動かない所がある。これは外人がそういう話をしているのを見なければ私もそこまで日本が差をつけられているとは気付かない分野だった。同じようなパターンとして基礎研究を日本でやったり技術開発したものを今度は外国が製品化してしまうという類。携帯音楽プレイヤーって日本のお家芸だったわけだけど、今やipodだし、携帯電話も日本のお家芸だったが、今やiphoneとギャラクシーが一番メジャーじゃないだろうか。でもipadアメリカ製かというと実際はそうでもない。色々な国で作ったものを上手く組み合わせている。つまり何処の国で作ったかでappleが儲けたわけではないと言う事。そして、その技術は極端にハイテクであったわけでもない。もの自体は日本の企業でも作れたはずだが、日本の企業には市場が作れなかった。ほかにも薄型テレビも動揺で有機ELとか長年日本が研究してたのに今や韓国企業がそれを製品化し日本の市場を作って売っている。農業も世界は近代化し続けたが日本だけ何故か日本の技術が外に言って外の市場で成功するという謎のガラパゴス。何処が勝負を分けていたのか見ていると、実際は技術や製品力や何処で作っているかではなく市場の作り方で勝負が付いているのは明白で、それが最も得意だったのが景気のいいときの日本だったわけだけど、今や見る影もないしそもそも何か勘違いして技術力とか品質で何とかなると思っている節があるように思う。私なんかは理系の人間なので割りと品質とかで勝負が決まって欲しいという希望はあるほうだけど、実際はとてもそうはおもえない。
 この問題の原因は恐らく10年くらい前に世代交代してしまい今決定権をもっている人たちの能力が落ちているからだろうと推測しているけど、まあそれはまだ分らない。まあ何でこんな事を書いたかというと、これみて"これ本当だとしたら、普通に凄すぎて日本企業が心配になる。もの作りとか言ってた人は、システムが負けてたら勝てないんだと速く気付いてほしい。"とはてぶしたたらそれに反応していると思われる人が"心配するなら特許問題がこじれたあと、日本企業が早期解決して開発継続する努力が陰った時から心配しとけ、と思うが。"とか反応してたので、書いてみた。特許がとか、継続開発がとか、もう奥から透けて見えてる発想だけで日本に勝ち目がなさ過ぎるし陰鬱な気持ちになったわけだけど、心の奥で松岡修三が言うからかいてみたよ。正直言って私は物凄く鋭い方じゃないし、思っていても外に出すのは遅い方なので、こんな話の前提すら全く考慮せずに何かを考えている人が意外といたりすること自体がもう結構怖い話なんじゃないかと思う。こういう考えや流れの見方が、正しいか間違っているかは別としても、日本が本当に技術やもの作りで勝負できるなら、今一番ハイテク産業であろうOSやらソフトウェア、CPU、GPUなどに日本の企業が全くない事をどう解釈するのかと。