一体何がカードであるのか

 最近選挙前の討論などがよくTVで見れるのだけど、相変わらずプロセスやロジックが見えないので迷う。例えば自民党はいい線の話をしてても、本当に表面しかなくて、一枚めくるとどうなんだろうなと思ってしまう。外交一つに焦点を当てても、自民の安部総裁は自衛隊国防軍へ変える話をしているが、相変わらずである。国防軍に名前を変えても結局実働能力に変化をもたらすことができないだろうと思う。つまり、小泉が辞めた後の構造改革末期でよくあった統廃合という名前の看板のつけ替えが行われるだけで実際は中身が変わらないアレのイメージしかできない。特に安部総裁の場合は一度既に看板を変えただけになってしまった総理という実績があるので、本当にできるのかなぁと思ってしまう。そして前回安部さんが、辞めた後の自民は完全にばら撒き路線へと変化していくわけで、安部さんがその気でも周りがそうとは限らないのが自民党という政党の難しい所。そして、総裁が倒れたというのに後任が用意されておらず悠長に選挙をしていた自民党の実行能力を私はそんなに信用できない。もしこれが仮に北朝鮮や中国により総理が暗殺され戦争が開始される状況だったらどうだろうか、選挙をする暇などないはずだ。アメリカなどはそういう事も想定し副大統領が即座に代行できる体制になっている。例え選挙をするとしても、安部総裁が倒れた後の空白期間を副大統領のような明確な構造で担う形を用意するべきだったし、安部さんが倒れた時はその絶好のチャンスですらあった。そういう事が全く話にも出せない自民党で、国防の意識が本当にあるのかなと思わされてしまうのが現状。
 一方の左派もあいかわず、平和憲法がどうとか良く分からないロジックを展開しているが、それが本当に外交カードになっているのなら竹島北方領土も日本に返還されていると思う。ただし、外交カードとしての自衛隊を考慮すると極端に悪い立場だとは私は思ってない。自衛隊というアメリカが押し付けた形を維持しているという事はアメリカに対しての外交カードとしての能力がかなり高い。例えば、イラク派兵を迫られた時、実は日本の方が優位な立場で交渉ができる一つの要因だ。アメリカが作った憲法で、アメリカが迫った自衛隊でダメってことになってるから法律を作ってからじゃないと派兵できない。これは素晴らしい口実だ。実際はすぐに派兵できる能力を備えた状態で、決定権を日本に持ってくることができる。それをカードに何か違う条件を提示すらできるかもしれない。態々捨てるのは国益になるのか微妙な所でもあると思う。他にも、例えばオスプレイを導入するのも日本は嫌なんだけど地元の反対がある(仮になかったとしても)けど、アメリカの為に無理をしてるんだよ。こういうポーズは一つのカードになると思う。もし日本の方からアメリカにオスプレイを凄く導入して欲しいという姿勢であったら、また「思いやり予算」が膨れ上がるのではないだろうか。在日米軍は嫌なんだけどというポーズを取ることで安く、しかも代わりに何か要求できるようなポジションで米軍を駐留させれるわけで消して悪い事ばかりではない。尖閣にはあくまで紛争ではなく国内問題という姿勢を使うなら海上保安庁の方が都合がいいと思うが、海上保安庁の装備が不足しているので、そこを強化するとか別の方法もない事はない。こういうロジックを持ってくるなら名目の自衛隊を維持して実働能力だけ上げてしまい、さらに対米カードしても使いつつ防衛力を保つ方法というのは確かにあると思うが、肝心の左派は何を考えてるのか分からないので難しい。
 今の民主党については特にいう事はもうない。負けがほぼ確定しているし決定権をもっても玉虫色なので右でも左でもその時に人気があるほうにつく形になるだろうから。

 右左以前の問題もある。例えば福島で事故が起きた時自衛隊はまともな対処ができなかった。これは原発テロ対策ができてないということで、自衛権の問題ではない。現状でも出来て、しかも名目も事実上も非常に平和的な所で能力を上げることができる部分を全く放置していた理由が良く分からない。比較的抵抗が少なく能力を上げれた箇所についても能力がなかったのだ。しかも福島の事故の後の今なら本当はその対テロ部隊などの能力を上げる口実が揃っているのに打ち出せないわけで、既に必要なところでもちゃんと用意出来ない現状で自衛隊という外交カードだけ捨てたら困る。国防軍にするなら抑止力としてのカードになるまで高めなければ丸損なので、日本軍怖いぞ、危ないぞ、怒らすなよっていうとこにまで行けるかどうか。今の自民党では多いに疑問が残ってしまう。左の人も原発あれだけ危ないというなら、単に問題点を指摘するだけではなく、自衛隊などのそういう部分に予算をつけるように要求しているべきだったと思う。どちらも私の感覚からするとロジックが破綻しているし、外交問題以外でもTPPでもエネルギー問題でも財政問題でも議員定数問題でも1から10までこの調子なので本当に困る。後残る問題としては、そもそも軍備を増強しても尖閣には効果があるか判らないあたりで、結局竹島にも北方領土には悪影響がありそうな点。つまり、既に軍事力で海上で韓国より自衛隊は有利だと思うけど、闘ったときに有利だからといって韓国が折れるわけでもなく、日本が強硬措置に出れるわけじゃないので、国防軍自体が単にもしもの戦争に備える以上のカードにはならないだろうというのが容易に想像できる。そうすると国防軍が多少はいい方に効果あるかもしれないのは尖閣でゴリ押ししてる中国に対してのみだと思う。対米、対露、対韓、あたりに対してはおそらく悪いカードの一つだ。
 少し前に新党大地の鈴木むねおさんをニコ生で見たが、あの人は別の所での筋は通してるなとは思った。ロシアと北方領土返還の具体的な方法論をある程度考えてるのはあの人しかいないのではないだろか。流石外務省に対して力があったというのもうなずける部分もあったが、それはロシアと親密になるので対米路線としては厳しい。かなりリスキーな方法だという所が難点かもしれない。中国と仲良くなった田中角栄は逮捕され、ロシアと仲良くしようとした鈴木宗男も逮捕され、対米独立を打ち出した小沢一郎も逮捕されるのだから、国家主権について色々考えさせられる物がある。