僕らは手間がかかることを本当は望んでいた

 飼い犬が死んでしまって非常に悲しい。本当は二日ほど前に死んでいてもおかしくはなかったが、雪の降るバレンタインまでの少しの時間だけ神様が時間をくれたような気がする。何か違うことをしている時に犬が吠えたりすれば手間がかかったり面倒だと思うが、死んでしまうと途端に自分のためにやっていたことが、何でそんなことをやっていたのだろう感じてしまった。結局私は手間をかけるために犬を飼っていたし、手間をかけれないことを今悲しんでいる。犬とあんなことをしたなと思いだす。本当はそんなの全然手間じゃなかったはずなのに、その時にはそれに気づかないで面倒に思っていたりする。本当はそういう手間に時間をかけるために生きていたのではないか。私の相棒だった犬には色んなことを教えてもらったが、最後まで大切な事を教えてくれた。