“無料ビジネス”の舞台裏 クローズアップ現代を見て

 クローズアップ現代(「タダでもうける?!“無料ビジネス”の舞台裏」)をみてちょっと思った事。NHKの番組の番組ではクローズアップ現代は速報性も高くて面白い番組だと思ってるんだけど、まさかのFree本を取り上げていた。で、適当に思った事とかを書いてみる。

■1円の値段と言うのは"1円+1円払う労力"だと思う
 値段差がある2種類のチョコを売ったときどれ位売れるかという話で、2円と27円、1円と26円の組み合わせで、売る場合は売れる比率が値段差に比例するけど、0円と25円では値段差以上の違いがでて0円が売れたという話から、0円には判断力を惑わす力があると結論付けてたけど、あれは違うと思う。1円というのは"1円+1円払う労力"で、26円と言うのは"26円+1円払う労力"で出来ている。0円と言うのは"0円だけ"と言う違いがある。お金を払うための労力分が存在しない0円には、違う価値があるというだけだと思うんだよね。だから、人が惑わされてるんじゃなくて正常な判断力ではないかな。

■無料の方が適正な判断力
 次の例の話。荷物を降ろす作業を人に手伝ってもらう場合に小額のお金を渡して手伝ってもらおうとすると拒否されるが、困っているから助けてくれと言うと喜んで手伝ってくれるという話があった。これも無料の方が進んで仕事をするケースがあるとして紹介されてたけど、無料の場合は人間の正常な判断が働くだけだと思う。
 結局有料だとお金のための判断と言うのが出てくるので、違う基準が入ってしまう。公共事業などが無駄だと感じてもやめる事が出来ないのはお金や生活のためにやっている部分があるからであって、仕事を取っている人も内心無駄だと思ってお金のためだという理由で仕事をしてしまう。無駄があると感じたらやらないでいられる適正な判断と言うのが無料にはある。逆に、お金をもらわないから進んで出来る事というものある。お金を払う貰うという行為には単純に人間が考える基準とは違う別の価値観が入り込んでしまう。どうしても、その時代ごとに変わる金の権力を利用している人たちの思惑の影響を受ける。生きていく為に権力に対しての姿勢や基準が、人間の本能より強く作用する。無料というのは市場原理が適応されずに進む事が出来ない分野を、市場原理を超えた部分でブレイクする力がある。勿論問題点もあるけど、この仕組みの方が上手く行く分野と言うのが確実に存在すると思う。 
 この考え方の問題点は、イデオロギー的に共産主義のにおいがするところだが、実際の北米企業を見る限り、その結果起きる事はちゃんと資本主義に乗る。だからイデオロギー的な部分で恐れず進んだ方が、結果的に強い仕組みになっていいのではないかと。公共事業に限らず、公共の利益の無駄を如何に減らすかと言う時にこの考え方は避けて通れないと思う。

日本の広告費が低い理由は最適化されていないから
 次のGoogleの話について。日本のネット広告費が安くてアメリカの広告費が高い理由とGoogleが巨大企業である理由は誰でも直ぐ思う所だけど、それが意味するところというのがあると思う。つまり、最適なマッチをした場合、金銭を経由しない無料のマッチングの方がコストが凄く低い。つまり、お金を使った産業と言うのはお金というものを一度経由している分どうしてもお金を使う目に見えないコストがかかってしまう。無料にしたのは検索利用料だけじゃなくてマッチングコストの方も無料になってる。日本の場合、モラルと企業努力みたいな形で、その部分が元々ある程度最適化されていたので、Googleみたいにシステマチックに無料化する仕組みに移項する理由が見当たらなかったかもしれない。結果的に1つブレイクスルーした仕組みでマッチングのコストを無料化してきたGoogleには、個人技の日本企業の良心によるコスト勝負が今の所負けている。日本の場合は、社会的な仕組みの段階で既に若干不利だと思う。そしてそれが如実に現れているのが広告費の値段じゃないかと思う。