年功序列と世代論

la_causette: 不老不死を前提とする愚
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たった1%の賃下げが99%を幸せにする - 池田信夫 blog
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この辺が面白かったので思った所を書いてみることに。

年功序列という名目で認識されてるものには2つある
 年功序列が完全であるとする場合、基本的には同じ世代の中から必ず一定数の選抜されていくという仮定ができ、その場合小倉さんが言うように、団塊世代が役職についているから下の世代が出世できないというのはおかしなことになる。単純に同一世代の中から一人を選ぶ場合を考えれば分かるが、同一世代の人数が多い方が基本的には出世しにくくなる。2000人いる世代の中から一人出世するより、1000人いる中から一人出世するほうが競争率が低いからだ。従ってこの場合の年功序列では世代の母数というのは競争の厳しさしか意味を成さず、次の世代には必ず次の世代の中から同数だけ出世すると決まっている事になる。
 次に、上の世代が多くつまって出世できないというケースがまったく無視できるかというと、これをまったく無視するわけにはいかない。なぜなら、組織に年齢が高い世代が多くなるとその年代の高い人の中から次の一人を選抜する形をとることも多く考えられるので、年功序列は必ずしも完全に同一世代の中から一人を選抜するのではなく、組織の年齢構成上、高齢に当たる人から役職を埋めていくという場合がある。
 この二つの年功序列は一般に違うものと認識しなければいけない。つまり、2つの年功序列の内で上がいる限り下が出世する可能性が極端に減ってしまうタイプ。これは筒のようになった一つの構造に後から新人が入れば前が出て行くというイメージで説明できる。このタイプの年功序列を「キュー型年功序列」ととりあえず命名しよう。もう一つは同一世代から選出される出世する人数が限定されており、年功によって変化するのは選出される時の競争率が変化するだけで選出人数は常に一定という完全競争タイプの年功序列。並列に世代ごとに切り刻んだ世代の層の中から任意の一人を選別するという、こういうのをとりあえず「並列型年功序列」と命名しよう*1。実際にはこのどちらのスタイルの会社のもあるとは思うが、現実の社会ではある程度以下の規模の組織では基本的には人情の問題で「キュー型年功序列」の方が採用される。
 団塊世代の認識の問題点として、世代を限定した年功序列システムを強調されて競争が厳しいと教育されて今日まで至っているので一般的に団塊世代に近いほど「並列型年功序列」の認識を強く持っている傾向にある。一方、若い人は現実問題に遭遇したあるいは、最近の何かしらの情報源が流す情報によって、キュー型の年功序列の問題点を指摘している。これは大事で現状認識のずれがあるわけだ。

■責任を取る順序
 リストラされる問題点についても言及していて、これも構造の話とすごく関係しているんだけど。日本の場合責任構造はいわば「スタック型責任構造」誰かが失敗すれば、下の誰かが責任を取り後から入ってきたやつの責任になる。これは日本だけじゃない部分もあるが、一方で欧米型では、いわば「キュー型責任構造」何か責任が起きた時にはトップの責任者の責任になる。そのため、給与と同時にリスクが増えていきやすい。これは勿論形式上だけの部分もあるけど、少なくともそうあるべきだという認識がある。

■因果関係をどちらにとるか
 日本の場合、首になるのは当然若い人になることがおおい。そして、これは年功序列の問題だと考えるか責任構造の問題だと考えるかだけど。責任構造が下の役職の人を切るので問題があると認識するか。そもそも、上の役職が無能だから問題なのであって上の役職を流動化するべきと考えるかって言う感じの違いがある。まあ、ある意味どちらも似てるんだけど、結果的に主張する内容が変わってくる。で、小倉さんの方は

「バブルが弾けて組織が小さくなってしまった」場合に,役職適齢期の従業員の中で役職に就けない人の割合は増えるとは思いますが,それは「バブルが弾けて組織が小さくなってしまった」にもかかわらずその世代の従業員が解雇もされず退職もせずその組織内に大量に残ったことの結果であって,上の世代がどうのという話でがありません。

 こんな事を書いてるので恐らく責任構造に問題があるって言う因果関係をとっていて、城さんのほうは、キュー型年功序列に問題があると考えているのが分かる。スタック型責任構造をとる以上、どの年功序列を採用しても基本的には現状は変化しないと考えるか、キュー型年功序列をとるとどの責任構造を採用しても現状は変化しないと考える。この二つの軸が見える。一応自分の考えも書くと年功序列と責任構造は不可分ではないかなぁとおもってたりする。ちょっと人が来て時間がないのでまた、後で各課も。

*1:こういうデータ構造の名称もあるかもしれないが分からないので適当