増やすか減らすかより何をするか

 自民党財政再建に関する特命委員会(委員長・稲田朋美政調会長)は16日、2020年度までの財政健全化計画の策定に向けた最終報告を安倍晋三首相に提出した。歳出額の目標を設定し着実に歳出改革を実現するよう促す内容だ。これに対し、政府側は、中間年度となる18年度までは歳出抑制よりも経済成長を優先する枠組みにするよう主張。政府より党が歳出抑制を求めるという異例の構図でつばぜり合いが激しくなっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150616-00000094-mai-pol

■「借金」と「歳出の増減」の関係性
借金問題の話になると、歳出削減か景気対策で増収かの話題になる。しかし、前提があまりに明確でない。どこまで借金が増えると破綻するのか、またはどこまでお金を刷ったらハイパーインフレになるのか。ある程度までいくと危険性が出てくるという大きい意味での傾向しか分らない。そして歳出削減も、景気対策で増収も、どちらも借金を減らせる方法として成立しえてしまう。景気が良くなれば税収も増収となり借金は減るし、歳出削減して借金を減らす方に回しても借金は減る。しかし歳出削減しても結果景気が悪化すれば減収となって借金は増える場合もありえるし、景気対策しても景気が良くならずに借金だけ増える場合もありえる。そういう意味では歳出抑制するか、歳出抑制しないかでは借金の増減は分かれていいない。歳出の増減と借金の増減は、相関関係にはあると思うけど、直接的な因果関係ではない。と考えるべきなんじゃないだろうか。

■とりあえず議員定数一票の格差是正で歳出削減すれば誰も文句を言えない
小泉内閣構造改革以来、歳出削減の方の話は前面に押し出されてはいない。民主党政権時代も「事業仕分け」をやっていたが、必ずしも削減できたとはいえなかった。削減する方向性は常に抵抗勢力を作るので、結局相当な実行力がないと歳出削減はできない。また小泉政権時代の構造改革も劇的に変化したと思える部分と、これはやらない方が良かったと思う部分の2面があった。中途半端な方針では、必要な所まで削ってしまったり、抵抗勢力が生まれるので実行能力がないとできないという問題がある。とりあえず、ここ何年も問題に上がっては消えている議員定数の削減と一票の格差問題を是正するという所から始めるのならば国民は誰も反対しないだろう。

一方の景気対策の方も何をするかによる。たとえば以前の小渕政権や麻生政権の時のように結構お金を使っているにもかかわらず、結局景気が良くならないパターンもある。これは大問題。景気対策をしても上手くいくパターンと単に歳出が増えるパターンの2つは確実にあると思う。安部政権の3本目の矢にはいまだに眉唾だが、既に実行した部分に関しては実際に株価も明らかに上がって経済成長率も高い。個人的には、何故かあのタイミングで上げてしまった消費税に関しては今でもおかしいと思ってるけど。

■ついでに
最近では生活保護費の問題なども良く見るが、あれは偏向報道ではないか。ちょっと調べてみると海外の公的扶助と比較し日本の公的扶助はそれほど多くはない。例えば日本のマスコミではよく格差社会といわれているアメリカですら、2011年の公的扶助のうち食事・住宅・医療に関する上記の5つだけで、5077.8億米ドル(1米ドル=95円で48兆円)もあるそうで、いくら人口が2倍とはいえ、これは膨大な金額。日本の方が充実してる部分もあるが、全体でみるとそう必ずしも日本の方が高福祉ともいえない。欧州と比較するとさらに際立つ、欧州では医療費は基本無料であり、学校も大学まで無料という国が大半を占めているようなので、比較すると日本はせいぜい中福祉。必ずしも福祉が充実しているともいえないにもかかわらず国の借金が高福祉とされている国より遥かに大きい。これでは福祉が充実しているかどうかが借金に関係してるとはいえない。マスコミが少し前も少年犯罪の増加増加と散々わめいていた時に統計をみたらまったく増加していなかったように統計といっていることが違いすぎる。