集団的自衛権の憲法解釈変更を閣議決定について

 このニュースが最近凄く取り上げられているので今思ってる事を例によって好き放題書くアレ。

 集団的自衛権に関しては、個別的自衛権で解決できそうな所を、集団的自衛権に拡大する意味がよく分からない。まずそれ以前の問題として集団的だとか個別的だとか言い出した時点で、そもそも間違っていたように思う。単に自衛権とすれば、中国や北朝鮮の脅威がある現状なら誰も文句を言わなかったと思うから。さらに集団的自衛権という謎の基準を憲法の解釈問題にしたら、そりゃ私だって今の安部内閣のいう謎の基準については反対せざるを得ない所がある。なぜかと言うと戦争好きの米国と同盟関係にある日本では、あまりに簡単に戦争に巻き込まれやすくなるし、拡大解釈があまりにも容易い気がするから。個人的に思ったのはこんな感じ

  1. 集団的だとか個別的だとか自衛権ではなく「自衛権」の問題として考慮するべき
  2. 憲法解釈の問題は今までの”「自衛のための必要最小限度」の武力行使”の範囲を明確化する作業を先に
  3. 想定される自体に対応する法整備を具体的に進める事で結果的に実行能力のあるものに

 今までだって解釈問題も「自衛のための必要最小限度」の武力行使として憲法上認めてきたわけだから、その曖昧な自衛隊の取り扱いを細かく定めていく作業は、事実上は自衛隊の行動範囲を法律で制限するわけで実は左翼側の面目としても拡大解釈やグレーゾーンを理由に暴走するのを防げると考えれば歩み寄る口実はあったように思う。ただし、日本としてはその際にちゃんと防衛できる形に法整備していけば何もない状態よりはっきりと現実的な事態への対応がやりやすくなったと思うんだ。自国が攻撃された時とかに法的に何の裏づけも準備もないなんて怖すぎるからね。実際には解釈問題で逃れて同じ事をするにしてもだ。
 だから、当面の問題として現実的な対応を先にしておいて、それより先に進めたいなら憲法改正を目指して国民投票をやる流れを作れば、民意がどちらにしろ悪い風にはならないと思う。ただ、今みたいにあまりに大幅に解釈問題で言い逃れするのは得策ではない憲法が形骸化してしまう恐れがあるからそれは非常に良くない。

自民党が提示していた15事例
で、自民党が具体的に提示していた事例だが、具体的には下のようなのだ

◇政府が与党協議に示す15事例
【グレーゾーン事態=3事例】
▽離島に外国人と思われる武装集団が不法上陸した場合の対処
▽公海上で訓練・警戒監視中の自衛艦が、武装集団から不法行為を受けている日本の民間船舶に遭遇した場合の対処
▽平時に近隣国が弾道ミサイルの発射準備に入った際の米艦防護
【国連平和維持活動(PKO)・集団安全保障など=4事例】
▽侵略行為に対抗するため、国連安保理決議に基づく多国籍軍への後方支援
▽PKOに参加する自衛隊が、離れた場所で襲撃された他国部隊や文民要員を救援する「駆け付け警護」
▽PKOに参加する自衛隊が任務を遂行するための武器使用
▽領域国の同意に基づいた邦人救出
集団的自衛権=8事例】
▽邦人を輸送中の米艦防護
▽武力攻撃を受けている米艦防護
▽日本近隣有事が発生した際の強制的な船舶検査(臨検)
▽米国に向かう弾道ミサイルの迎撃
▽近隣有事で近隣国が弾道ミサイルの発射準備に入った際の米艦防護
▽米本土が武力攻撃を受け、日本近隣で作戦を行う米艦防護
▽戦闘下でのシーレーン海上交通路)の機雷掃海
▽民間船舶が攻撃を受けた際の国際共同護衛活動への参加

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014052400158

これがまた一癖あって、「邦人を輸送中の米艦防護」のような誰がどう見ても反対しない項目をちりばめて置き、その中にさりげなく負担が大きい日本にとって不利な物が含まれすぎてる。例えば「武力攻撃を受けている米艦防護」。これが「近隣有事で武力攻撃を受けている米艦防護」なら日本周辺に限定されるのでかなりの制限になるが、それがないというのはものすごい気がかりだ。例えば仮にイラク周辺で米艦が攻撃されたら、それを口実に自衛隊がそこに行って防護しなければいけないのか?という事にでもなりかねない。「近隣有事」と地域が限定化されてるとかは実質的に自衛隊が近くにいる場合のみという制限が効いてるが、付いてないのでどの範囲まで防護するのか果てしなく広げる事ができてしまいそう。「米本土が武力攻撃を受け、日本近隣で作戦を行う米艦防護」こういうのも911みたいな現在最も想定される米本土攻撃でアフガニスタンイラクに米国が派兵した場合、自衛隊が追従して派兵しろといわれても断る口実に使えない事になる。具体的に考える事が大事だが、現実味のある形で見ると日本から自衛隊の派遣の主導権を失わせるのではないか。さりげなく心配な内容が一瞬見ただけですぐに思い浮かぶ。この辺はもっと厳密に想定した方がいいように思う。

■追記
 そういえばもう一つ興味深かったのは北朝鮮。今日本と北朝鮮拉致問題で協議をし始めているが、北朝鮮集団的自衛権に対して拒否反応を示して協議に問題が出るかと思ったが全くでない。むしろ何故か集団的自衛権には韓国が文句を言っていると謎の構図。集団的自衛権で得をするはずの韓国が文句をいい、集団的自衛権で朝鮮有事で日本と敵対する可能性の高い北朝鮮は黙っているという。これによって、いよいよ日本の防衛に対する問題は中国が騒ぎ立てているのだと明確化したような気がする。