プロパガンダと炎上ステマは良く似ている

見ててなんかもう尖閣関係は酷すぎて思わず何かを書かずに入られなかった。
■レーダー照射、以前からあった! 民主党公表せず

東シナ海での中国軍による自衛隊への射撃用レーダー照射が、野田政権が昨年9月に尖閣諸島沖縄県石垣市)を国有化する前にもあったことがわかった。政府関係者が明らかにした。安倍政権が5日に公表した今年1月下旬の事案以前にも、同じ海域で複数回、照射があったとしている。

政府関係者によると、1月30日に中国軍艦が海上自衛隊護衛艦に火器管制用レーダーを照射したのは尖閣諸島の北西百数十キロの公海上。同月19日に海自ヘリコプターへの照射があったとみられるのも同じ海域。

防衛省は今回公表したケース以前にも周辺海域で複数回、自衛隊への中国軍のレーダー照射を把握。
今回の「数分間」(防衛省)より長く照射したケースもあるという。日本政府は 「日中関係を悪化させる
懸念がある」(政府高官)とこれまで公表を避けてきたが、今回は立て続けにレーダー照射されたため、
安倍政権が事態を重く見て公表に踏み切った。

http://www.asahi.com/politics/update/0206/TKY201302060145.html

2chでは例によってお馬鹿スレで民主党が公表していない事を問題視していたが、レーダー照射を分かっていてもそれをマスコミに流すか流さないかを決めて、どういう効果があるかを考えるのが外交の一つの重要なポイントなので、むしろそこから何を読み取るかがマスコミや国民の政治レベルでしょ。読み取ったのが民主党叩きってお粗末過ぎる。もう私には何を考えてるのか分からないねああいう人たちは。

■この話から読み取れる事
 まず、最低でも、これは自民党が公表して政治的なカードに使ったという風に見るべきだと思う。これをカードにすると決めて自民党が情報を流したこと自体に意味があるわけで。それで得られた反応は

   レーザーを照射していた → 日本国民:中国はけしからん!
              → 日本政府:もうやるなよ!
              → 中国国民:いいぞもっとやれ!

結果的にはこういう風だった。結局もうやるなというメッセージと、両国の国民がヒートアップする効果で、何故自民がこれを情報として流したかの理由は良く分からないが、単純にもうやるなという警告なのか、中国側が悪いという世論を作りたいのか、そんなことがあったから憲法改定だよね?っていう流れの形成など色々考えられるが、まず何故自民がこの情報を公表したのかはこの話の場合一番大事なポイントだろう。逆に中国側は「日本にこんなことしてやったぞ!」というポーズにもなるので、実は日中双方の政府は意外とお互い結構メリットがあるような気はする。外交的には公明党が中国に行って問題解決しようとしている流れが気に入らない勢力がいるとみるか、それとも問題収束させるための一応の手段としてお互い談合済みの話なのかとか、まあそういう感じで考える話じゃないかと思う。民主党どうこうって言う話は、あえて自民側が出して自民の方が上手く対応してるという感じの主張と考える方が自然。まあレーザーが照射されてるかどうかを公表する事には本来は特に意味はない。なぜならアメリカなども急にレーザー照射は普通ではない!みたいなポーズをとっているが、以前にも照射されていたのならばアメリカがそれを知らないはずがないのだから。完全に分かった上で、アメリカは今の対応を打ち出していると見るべきだろう。

■ついでに少し前の「事実上のミサイル」とやらの話
少し前に、北朝鮮の「事実上のミサイル」というフレーズをやたらと連呼していたマスコミ。ミサイルじゃいけないのか?とか事実上のってなに?とか妙に気になる部分が多い言葉だ。しかし、それが本当は何を意味していたのかは今も黙ったままのように見える。実際は、これが凄く政治的な報道だったからだろう。
ロケットなのかミサイルなのかは弾頭の有無による所が大きい。北朝鮮の「事実上のミサイル」には弾頭がないそうなのでロケットといわれればロケットともいえてしまう。逆に弾頭がないのにミサイルという論理でいくと、韓国の衛星打ち上げや、日本のH2ロケットなどもいちいち文句を言われなければいけなくなってしまう。
では何故日本のマスコミが「事実上のミサイル」というのか、これにも理由がある。まず、実際のマスコミの報道によると国連決議違反だ!と大体書いてるのだが、何の国連決議に違反してるかなどは曖昧な報道ばかりだ。調べてみるとマスコミが指しているのは国際連合安全保障理事会決議1695「UNSCR1695」の事ではないかと思われる。そしてそこに何が書かれているかというとこれだ。

外務省: 国際連合安全保障理事会決議第1695号 訳文

簡単に書くと北朝鮮はミサイルを撃つなよ!っていう感じの内容。つまりミサイルを打つと国連決議違反になる。しかし、ロケットだったら?割と微妙な事になる。従って北朝鮮はロケットと主張するし、日本やアメリカはミサイルだと主張する。しかし弾頭がないのでミサイルとも言い切れず、「事実上のミサイル」と言う良く分からない言葉を連呼する事に。どこか報道のしかたに「直ちに危険ではない」とかと通じる物を感じた人いるんじゃないだろうか。本当はそういう政治的な意図を多分に含んだ報道だったのだからアレを見た日本人は「事実上のミサイル」って何?と思うのも当たり前。妙に細かい政局は事細かにワイドショー風に報道する割には、この辺の話は全く黙っているのは結構不思議。

実際の所、ロケットと報道しても、ミサイルにつながる危険な実験だとすればいいような気もするが、何故か報道側は理屈は全部なくして、同じフレーズの連呼による手法をとったのが見てて痛々しいというか、逆に不信感を抱かせてしまったんじゃないかと思う。日本国民はアメリカ人ではないので、ああいう報道をしたら結構な割合の人が違和感を抱くのは福島で散々分かってたと思うんだけどね。ただ、厳密には問題もあって、ここで北朝鮮のもロケットという事にしてしまうと、ロケットの打ち上げが危険だという事になるので、韓国や日本のロケットに対しても問題視されてしまう。日本は宇宙開発という名目にしているが、さりげなく偵察衛星なども打ち上げている*1ので言われたら面倒な部分ではある。さらに悪い事には韓国などは明らかにミサイル技術の研究も兼ねている部分あるので、何故北朝鮮だけがダメなのかが分かりにくい。北朝鮮自身も北朝鮮のロケットはだめで、韓国のロケット打ち上げを非難しないのはおかしい!という主張をしている。

もう一段話しを展開し、実際の所なぜミサイルがダメなのかを考えると、案外現在の北朝鮮のミサイルは日本の問題ではないのも分かる。どういう事かというと、最近北朝鮮が打ち上げている衛星だと称するものは、かなりの長距離ミサイルの部類で、既に以前に打ち上げ成功しているもっと小型のミサイルでも日本には十分とどく。つまり日本に対しては北朝鮮はミサイル既に打ち込める耐性になっており今ミサイルの実験を止めても今更感は結構ある。むしろ前の自民党政権の時にもっと抗議してもよかったくらいだと思う。ではどうして日本が騒いでるかといえば、むしろアメリカのために騒いで上げているような部分がある。今実験しているミサイルはアメリカへも届くというのがポイントでアメリカにすれば直接攻撃されたくはないので(日本はもう直接とどいてしまうわけだが)ミサイルの実験はやめろといっているわけだ。北朝鮮は核を既に持っているのでミサイルで核を打ち込まれたら確かに日本も人事ではないのでこれに乗って一緒に北朝鮮の「事実上のミサイル」へ批判している。ただし、本当は日本に対しては既にミサイルが届くので日本としてはむしろ核実験の方が中止させるポイントではないかと思う。核実験により核弾頭の小型化が進むと北朝鮮のミサイルに積み込まれて、核ミサイルが日本を射程におさめるからだ。ちなみに韓国は砲撃がソウルまで届くらしいので、そもそも北と戦争など既に出来る体制とはいえないと思う。韓国の仁川国際空港など本当に北朝鮮と目と鼻のさきで、むしろあそこに外人を配置する事で人質的な抑止力を期待しているのではないかと韓国を疑いたくなる位置だ。韓国にとても外人を守る気があるとは思えない。

勿論、尖閣のレーザーの話と同様に、北のミサイルの時もアメリカが把握していなかったはずはないので、あの妙な慌てたふりは事前に分かってるのにやってる完全な茶番だとしか思えない。レーザーに関してもそうだが、この手のアメリカの茶番は毎回やりすぎてて日本人には逆に不信感を与えているのではないかという気もする。別に日本人は、アメリカがアメリカの国益のためにこうしますよといった所で、案の定そうだったのかというだけで今と大して反応が変わるとも思えないし、本当の事を知っても特に気にせず羊のように草を食べる国民性ですらあると思うが、まるで、今まで何も知らなかったかのように言われると逆に変な風潮になりかねないような。

*1:偵察衛星については最近尖閣問題で中国よりの発言で左翼だとか叩かれてる孫崎享が外務省国際情報局の局長だった時にやっているのは興味深い。私は以前にその話を見ていたので、左翼だったら北朝鮮や中国に対しての偵察衛星を上げるとアメリカの反対を押し切って主張するかなぁとは思ったりした。対北朝鮮に向けた衛星を米の反対を振り切って打ちあげるって事はあくまで単なる独立路線ではないかと思う