読むと余計に分らない新聞

 選挙制度を変えるという消費税よりさらに重大な問題を消費税を通す為にとってつけたように出してきた野田もどうかと思うが、その事実を報道する事すらままならないってマスメディアの感覚が分からない。

民主:議員定数削減骨子「0増5減」自民党案「丸のみ」に - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120118k0000m010073000c.html

 例えば、毎日と産経は上の記事ように自民案を丸のみだと書いていたが、個人的には全くそうだとは思えなかった。案の定、直ぐに

「少数政党への配慮ない」 自民・石原幹事長、民主の比例80削減案に慎重姿勢 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120118/stt12011811480003-n1.htm
時事ドットコム:比例80削減に反対=自公
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012011800374

 こういう報道が出た。そりゃ削減数が比例で80ってのは0増5減より遥かに人数が大きいので焦点がここに来るのは明らか。ただし、この記事ある意味どちらも事実を伝聞するスタイルにしているものの、何の話かまるで判らないと思う。時事ドットコムは兎に角速く短くまとめて事実を伝聞と言う感じなのでまだ分るけど、他の報道は自分の所の意見を書く割に些細な発言とかに終始してて、全くプロセスがない。前も書いたけど、5W1Hじゃないけど何時、誰が何を"どうして"、特に、どうしてが全くない。客観性を持つって言うなら、"丸のみ"とか"慎重"とか割と主観的な抜粋も十分偏向してると思うんだよね。実際丸のみじゃないから自公は反対したわけで、比例区80減なんて比例でかせいでいる少数政党や公明がのむわけがない。そういうことも分ってないからああいうの書いちゃうんだろうなぁと。客観性を持つように見せかけた酷い主観で結局これじゃ読んだ人がまともに情報読めないという。100歩譲って報道の自由で偏向してもいいけどそれ以前に何を言っているのか分らないと思うんだよね。なんていうか、ここまでの話はもう非常にくだらないよ。頭が混乱しててオーバーフローしちゃった人達の見えてる世界で、何かを話す前の段階だと思う。

本当に必要な情報は何か

 そもそも、議員定数が人口に対して不均衡で1票の格差が生まれていることを最高裁違憲だとしたから何とかしなければいけないというのが"一応"どこの政党も認める建前なんだけど、その前提でみたら、普通は現状の格差を提示して、自民、民主、夫々の政党がどういう案をだしていて、どの案ならば格差がどの程度になるかを先ず出すべきだと思うんだよね。別に長く書いてもいいけど小さくしたいなら小さな表1つで済むよ。どこの県が減るとかじゃなくて主旨からして格差がどれ位解消するかに焦点を当てるべきなんだよ。
 それから同時に、増税するなら議員定数削減や歳出削減が先だという話が消費税増税案からの流れなのだから、それで議員定数削減の話になっているという脈絡を考えれば、夫々の政党がどれだけ議員数を削減する必要があると思っているのかも、これもこの話で全部出るわけだよ。それも実に明快に数字で出てくれるまたとない機会だよ。その削減したい人数を一覧にするべきなんだよ。
 この辺が最低限の提示であって、続報がある度に全く同じのを何度も載せておくべき位の話で、細かい部分はそれがどういう方向になりそうなのかを伝えているだけなのだから。謎の試案Xを提示しないまま、何処がY案を出したとか、どことどこがXを協議してXY案がでたとか、どこがYに反対だとか、Y案の余白の隅にはこうかいてあるとか。・・・。方程式かよと。文章でも数行、表なら1つで済む話をどうして複雑にしなければいけないのかと。大体そんな細かい話は速報しなくていい。まずそれが分ってない。そこまで細かいことに関与したいなら初めから議員内閣制が向いてない。間接的でいいっていうのはそういう枝葉の部分は任せてるってことで本質的な部分だけ分かりやすいことに意味があるんだよ。今出てる情報が必要なのはいわば業界紙。そういう部数の少ない政治家とか秘書とか官僚向けの業界紙でも作ってやればいい事。一般人に必要な事は大量にあるけど、それは全く提示していない。あの人達大丈夫なのかと、忙し過ぎて何かやられてしまっているんじゃないかと思うんだよ。池上彰の話が分りやすいとか言ってるけど、あれは最低限のレベルだから、あれも別に話が分りやすいんじゃなくて単純に必要な情報を提示してるだけだと思う。しかも時々間違っているけどそれでも普通の報道が全く提示しないので十分わかり安く感じてしまうというだけで。

 逆に新聞を読んでたら分りにくすぎて頭がおかしくなる。話が見えてこない。読者の処理能力が落ちそう。あれは、無駄情報で混乱させるだけなので逆に読まない方が明快になるんじゃないかと。他の「五増九減」「六増六減」案が提示されず、その存在すら曖昧。そして、どこの県が減るとかに終始しているので他の対案が見えてこない。こうやってみてるとわかるけど実際は存在している選択肢を如何に見せずに、それしかないかのように見せられているか一度考える価値があると思う。国民が選択肢を作るには政治家にでもなるしかないし、別のことをしている人がそこまで詳しくなるのは無理がある。つまり事実上選択肢がひとつしかない状態とかで選挙するわけでまともな判断が出来るとは思いにくい。しかも1つあれば賛成反対できるだけまだマシで下手をしたら、1つも提示がされずに選挙をするので賛成も反対もなく単にポスターの顔でもみて決める事になってしまうんだと思う。明治の時代には新聞は選択肢を見せるのみならず、新聞社が自ら憲法の草案を提示して見せたりしていたわけで、それと比べると明らかに違いがある。

まだ選挙権がない人の為の選挙の話 - himadatenodeの日記
http://d.hatena.ne.jp/himadatanode/20090306/p2