ニコニコの中の人は答えのない話が好き

http://live.nicovideo.jp/watch/lv29348611

■結局どうするのかなにも展望がない官僚
 中々面白かったけど、最後は詰めてなくて微妙だった。ガラパゴスだったらどうやんの?みたいな所が本来はメインかと思ってたけど、結局ガラパゴスでもいんだよってのと、後は長期的には日本は衰退するみたいな予測に終始して終わり。なんだそれ、と思わずディスプレイの前で呟いてしまった。特に通産省の人とかはなんでそんなに他人事なのかと、あなたが当事者で日本で一番そういう部分に対して実権を持っている省庁のしかもデジタルコンテンツあたりの担当者だった人ではなかったのかと。その少し前にソフトバンクの孫さんやら、iモードを作った夏野さんなどの話をニコ生を見てただけに、やっぱり官僚は官僚だったと強く思った。孫さんやら夏野さんの話は、現状はこうってだけの話は殆どなく、これでもかこれでもかと、自分が描くより良い形にするためのビジョンを次々に展開していくという、非常に力強い内容だった。勿論それができるかは別問題だが、少なくとも何かを描いている、考えてはいるというのがが十分に伝わる。一方の官僚の人の話は現状を認識したまでは同じだが、未来を悲観した挙句ビジョンも何もなくて終わるというお粗末さ、そんなに何にもいい未来が描けないならもうやめてしまえと言いたい。そのポストにいる能力がないわ。むしろ私はこう思うし、こうすればよくなる、だからこうしようよ!っていうビジョンとやる気が必要なんだと思う。現状分析したり他人事のように客観的な観測をするのは批評家とか民間で十分。実権がある所が批評家になるのは最悪の状態だと思う。
 ジョイサウンドのランキングにボーカロイド多いというランキングの現状に驚いていたりする一幕も。あなたは総務省コピーワンスだの複製の基準がどうとか決めてた時に、通産省ではデジタルコンテンツ系を担当する当の関係者ではなかったのかと、そんなことも知らなかったのかと逆に驚いたり。

■存在意義を問いだす哲学者
 他にも若干川上さんにもどうなのそれ?と思う部分がちらほら。あらゆるジャンルが曖昧になっているという猪子さんの本質的な主張に対して、官僚の人と一緒になってしまって意図がつかめていなかったと思う。つまり、猪子さんが何度も繰り返した寛容というのキーワードは、何か新しいものが生まれる土壌というのは今ある枠組みや規制、モラルを超えないと出てこないという部分に集約されていると思う。そこにコミケや、同人、著作権、TV、ニートや主婦などの非労働層問題なども含めて色々な部分が包括されている話だった。しかし、それが結局ルールや枠組みの問題という認識だと官僚やドワンゴには思えなかったようだ。理解不足が決定的に明らかになるのは、寛容を重視する話をした猪子に対して、非労働層が何のためにいるのかわからないという存在意義について問いだす最後の一幕だ。

 前時代的なルールが足かせになってしまい新しい体系へと変化できない歪がそこにあると思っているが、通産省の官僚の人に至っては日本には歪が存在しないと思っているおめでたい思考回路だった。まるで80年代に学校で聞いたような均一な豊かな日本社会がまだ存在しているかのような認識の話を終始繰り返し、官僚は恐ろしく現状が認識できていないのだなという感じが強まった。
 ドワンゴも存在意義とかの哲学的な話を最後にだした事で結局、かなりいい加減な哲学問題として社会現象を認識していたという部分が浮き彫りになってしまったと思う。社会的な部分に存在意義の哲学を求めたら何も答えは出ないと思うんだよね。生命が存在する理由なんて誰にもわからんよそんなの。まずその思考回路が結構アウトだと思った。まあ、川上さんって正直自分が今やっている所以外に関してはどの話を聞いても殆ど知らないし興味もなさそうな人なので、ああいう場所には実は見る視点が面白い分だけひろゆきとかの方が向いてるくらいだと思う。必要なのは実際起きている事の認識と、どうして起きているかの原因、そして何を変えてより良い形を提示するかだけだと思う。その点に関しては眠そうにしていた猪子さんがルールの枠組みを緩くしないと新しいのが出てこないという漠然とした提起をしたのが、この話のなかで最も建設的な案だったという。しかもその一番ましな意見すら眠そうにしているとかで叩かれている有様。もうなんていうか、おそろしーよ。これが今の一応賢いとされてる人たちが話しているデジタルコンテンツエキスポっていうのが怖いよ。見てて恐ろしい動画ってあんまりないけど、国会中継並みに怖いわこれ。

自分はあんまり官僚批判しない方だったし、どっちかというと擁護してた方だけど、これ見たら考えが180度変わった。官僚は本当に駄目かもしれん。ちょっと期待できそうな部分がなかった。